市長施政方針並びに提案理由説明要旨(平成22年3月市議会定例会)
(作成・更新: 2010年3月4日)
(はじめに)
本日ここに、平成22年第1回市議会定例会の開会にあたり、市政運営に関する私の所信の一端を申し上げ、市議会議員各位並びに市民の皆様のご理解とご協力を賜りたいと存じます。
私は、昨年10月の市長選挙におきまして、市民の皆様から再び信託を賜り、2期目の市長を務めさせていただくことになりました。地方行政を巡る情勢が大きく変化する中、重要課題が山積する大田市にとりまして、この4年間は、大変重要な時期であり、改めてその職責の重大さに身が引き締まる思いであります。
就任以来、早や4ヶ月が経過しましたが、昨年の12月議会におきまして、私の施政方針の中で申し上げましたように、市民の皆様にお約束いたしました公約に関しましては、大田市総合計画を基本に、実現化に向けて既に取り組みを始めているところであります。
私はこれ迄、地域特性を活かした一体感のあるまちづくりを基本理念に、新市の発展と飛躍に向け、総合計画をはじめ、様々な分野の計画を策定し、新たなまちづくりを推進してまいりました。
効果的、効率的な市政運営をすべく、行財政改革を進める一方、定住促進、その柱としての産業振興、子育て支援をはじめ、情報通信網、道路、公共下水道などの生活基盤の整備、さらには、地域課題の解決に向け、市民の皆様と行政の協働によるまちづくりをさらに前進させようと、市内全域にまちづくりセンターを設置するとともに、それをサポートする機関として、支援センターを設置する等の新しいまちづくり体制での取り組みを進めてきたところであります。
新年度は、このような市長就任以来、取り組んできた様々な施策が、今後の4年間に実を結ぶスタートの年となるよう着実に前進させてまいる所存であります。
今、政治も経済も大きな転機を迎えており、新政権の「コンクリートから人へ」というスローガンのもとで、地方分権改革、税制の見直しなど大きな政策転換が図られようとしています。引き続き、行財政改革を着実に進め、より選択と集中の視点に立ち、真に必要な施策を重点的に推進していかなければならないと考えています。
本年は大田市にとりましてもまさに正念場の年となります。本市が進むべき方向をしっかりと見据え、「現地現場主義」を基本姿勢に石見銀山遺跡や国立公園三瓶山をはじめ魅力ある地域資源を最大限に活かし、「人と人、地域と地域が結び合い、愛着と誇りを持ちながら、生き生きと暮らすことのできる自立した大田市」を目指して、市政の推進に粉骨砕身、邁進する所存であります。
(市政運営の基本方針)
続いて、私が市政を進めるに当たりまして柱となる基本方針について申し述べます。
現在、国の経済情勢は、一昨年のアメリカ発の金融危機の影響から景気低迷が続き、緊急経済対策による一部持ち直しの動きが見られるものの、急激な円高進行、株価の低迷、デフレの進行等、依然厳しい情勢にあります。
当市におきましても、こうした厳しい経済情勢に対応するため、昨年来、国、県の予算に盛り込まれた各種施策の活用を図りながら、住宅リフォーム等促進事業、資金繰り円滑化支援緊急資金信用保証料補助事業や緊急雇用対策奨励事業などをはじめ、公共事業の前倒し等々、累次の補正予算を盛り込み、緊急経済対策を実施してまいりました。
しかし、経済、雇用情勢は依然低迷し、大変厳しい状況に置かれており、引き続き、産業振興や雇用創出など、地域経済の活性化につながる施策を講じていくとともに、平成21年度の国の第2次補正予算に盛り込まれた各種事業を活用し、今後も地域経済の活性化を最重要課題に取り組んでまいります。
さて、本年は、新政権となり、国と地方の新たな関係確立に向けて動き出すスタートの年だと、私は考えています。
政府は、公共事業費の抑制や、子ども手当の創設等のマニフェストで示された政策を反映した予算を編成する一方で、政策決定の手法を大幅に見直し、新しい組織の設置や手続きの変更など、大胆な方針転換を進めており、地方行財政を巡る状勢も大きく変わろうとしております。
さらに、地方自治体にとって重要な地方分権改革は、自治体への義務付け、枠付けの見直しや一括交付金制度の実施など、「地域主権」の名の下、新たな改革として推進されようとしています。
今後もこうした国の動向を注視しながら、関係機関などと連携し、国政の場に地方の声を伝え、市民の立場と視点に立って、施策を展開してまいります。
また、本年3月末をもって、期限切れとなります現行の過疎地域自立促進特別措置法は、6年間延長され、過疎債の発行対象も、これまでの基盤整備などのハード事業に加え、住民が将来にわたり安全に安心して暮らすことのできる社会の実現を図るためのソフト事業も追加して対象となる予定であります。少子高齢化や中山間地域の小規模高齢化集落への対応など、諸課題を抱える当市としましては、大いに活用し、迅速、機敏に、切れ目のない過疎対策を講じてまいります。
次に、当市の抱える喫緊の課題について、その状況と所信を申し上げます。
まず、大田市立病院の診療体制についてであります。
これまで厳しい医療情勢の中、地域の医療を守るため、医師、看護師等の確保を最重要課題として、鋭意取り組んできたところでありますが、極めて厳しい状況であります。本年4月から外科及び整形外科の常勤医師が不在となることが確定し、これら診療科にかかわる救急患者の受入れが困難な状況となりましたことから、私としては断腸の思いで救急告示病院の告示を取り下げざるを得ないと判断したところであります。
このことは、市民の皆様の命と健康を守るべき地域医療体制にとって大きな痛手であり、誠に憂慮すべき事態であります。
もとより、地域医療提供体制の整備は基本的、最優先課題であり、一日も早く安心して医療を受けられる体制の確保に向け、島根大学医学部など医療機関への積極的な要望活動はもとより、県並びに周辺自治体、関係機関と力を合わせ、医師確保に市民の皆様にもご支援いただきながら全力で取り組んでまいります。
なお、大田市の地域医療を守るべき緊急対策といたしまして、市内開業医の皆様の協力を得て、輪番制による休日診療の実施、また、市立病院を支え地域医療を守る機運の醸成を図るため、大田市地域医療支援対策協議会の設置、さらには、市民の皆様が24時間いつでも救急等の医療相談や最寄りの医療機関の紹介を受けられる無料電話相談の実施、加えて、救急患者の搬送路を確保するため関係市道を整備するほか、県道整備の要望を行うなど、地域医療確保のために必要な予算を本会期中に平成21年度補正予算として上程をしてまいりたいと考えています。
さらに、新年度からは、市立病院内における医師、看護師確保の専門部署に加え、本庁内においても地域医療全般を所管するセクションを新設し、関係団体と連携を図りながら、全力で喫緊の医療対策に取り組んでまいります。
次に、新不燃物処分場につきましては、市民生活において必要不可欠な施設であり、市内3箇所の現処分場の残容量が限界に近づいておりますことから、新たな処分場の整備に着手いたしました。今後とも地権者の方々や地元の皆様方に、新不燃物処分場の必要性や同施設が自然環境や景観に配慮した施設であることを、引き続き丁寧にご説明申し上げるとともに、ご意見、ご要望を誠心誠意受け止めながら、早期の建設に向け、鋭意取り組んでまいります。
本年は、市制施行5周年を迎える節目の年となります。
依然として、本市を取り巻く行財政環境は人口減少、少子高齢化の進行、地域経済の低迷、厳しい財政状況など多くの課題を抱え、益々厳しい状況にあります。しかし、こうした中にあっても、山積する課題解決のため一つ一つ熟慮断行、前進させ、大田市が真に一体化し、均衡ある発展を遂げ、さらに飛躍する年となるよう市政運営に全力を尽くす覚悟であります。
議員各位並びに市民の皆様には、格別のご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。
以上、申し述べました市政運営の基本的な考え方を踏まえて、総合計画に掲げる6つの基本方針に沿って、主要施策の概要について申し上げます。
(主要施策の概要)
第1は、「地域資源のネットワークによる活発な産業づくり」であります。
「産業の活性化なくして地域の自立発展なし」の考え方のもと、産業振興ビジョンに基づき、「産業活力漲るおおだの実現」を最重要課題に取り組んでまいります。
まず、「誇れる」大田ブランドづくりの推進についてであります。
三瓶山をはじめとする豊かな自然、石見銀山遺跡に代表される歴史、文化などの地域資源を有効に活かし、地産地消の啓発による地元での認知を得た上で、大田の顔として県外で通用する商品づくりに加えて、首都圏、広島圏域をターゲットにした販路拡大に向けた取り組みを行ってまいります。
次に、地域一体での「もてなし」の充実。観光についてであります。
「大田市新観光計画」に基づき、世界遺産石見銀山遺跡を核とし、国立公園三瓶山、温泉津温泉、琴ケ浜をはじめ、大田市海岸などの恵まれた観光資源を活かし、周遊、滞在型観光に結び付けるための積極的な情報発信に努めてまいります。
三瓶地域につきましては、本年1月末日をもって、財団法人大田市保養施設管理公社が解散いたしました。引き継ぎました周辺観光施設につきましては、指定管理により民間のノウハウを十分に発揮していただき、これまで以上に、市民の皆様方をはじめ多くの観光客に愛されるよう、市といたしましても積極的に協力してまいりたいと考えております。
島根県より取得しました北の原キャンプ場につきましても、一体的な三瓶山全体の周遊型観光の一つとして、連携させ取り組んでまいります。今後とも今年度設置しました観光プロデューサーを中心とし、三瓶観光の再生、大田市観光の振興を図ってまいります。
次に、産業の創出と育成につきましては、メイドイン大田創出支援事業、産業振興アドバイザー事業などの実施により、新技術や新産業の創出を図り、併せてふるさと大田創業支援事業などの実施により、地域産業の活力の向上のための取り組みを支援してまいります。
次に、企業誘致活動の推進についてであります。
昨年にも増して、景気は厳しい状況でありますので、当面は企業のフォローアップに重点を置き、私自身が先頭に立って企業へ出向き、直接、事業者のニーズや動向の情報収集に努め、適切な対応を行ってまいります。
農林水産業の推進についてであります。
農家の高齢化や後継者不足に対応するため、昨年に引き続き農業担い手支援センターを中心として、認定農業者や集落営農の育成に取り組んでまいります。また、新しく始まる「中山間地域等直接支払い交付金」を積極的に活用し、集落等の支援を行ってまいります。
今月中に登録が予定されております道の駅「ロード銀山」につきましては、販売拠点施設を整備し、産直野菜を中心とした地産地消の推進や観光面での誘客など交流人口の拡大を図ってまいります。
国では、新たな農政の取り組みとして、戸別所得補償制度モデル対策の実施が計画されています。市といたしましても農家の皆様が、円滑に事業に取り組めるよう関係機関と協力して、推進対策を整えていきたいと考えています。
畜産振興につきましては、肉用牛振興対策として県外からの基礎雌牛の導入や放牧推進事業を進めてまいります。
水産業につきましては、安定した水産資源を確保するため引き続き栽培漁業を推進してまいります。また、漁業協同組合JFしまねでは、漁業経営の安定と漁村地域の活性化を図るため、減船などによる漁業構造の再編合理化や市場統合による販売流通機能の見直しが計画されていますが、市といたしましては、漁業者の皆様の自主的な取り組みを尊重し、その実施に向け支援してまいりたいと考えています。
また、次代の産業を担う人材育成につきましては、若年層への地域産業の情報提供やUIターン希望者等を対象とした「無料職業紹介所事業」などに積極的に取り組んでまいります。
第2は、「だれもが住みよく、安心・やすらぎを感じる生活づくり」であります。
子どもを健やかに産み育てることのできる環境づくりにつきましては、平成22年度から5年間を見据えた後期「大田市次世代育成支援行動計画」に基づき、社会全体で子育てを支えるまちづくりを推進してまいります。
まず、子育てにおける保護者の経済的負担の軽減につきましては、これまで乳幼児医療費の助成を拡大し、大田市独自に3歳未満児は無料、小学校就学前までは自己負担を軽減していますが、新年度からさらに中学校修了まで拡大し、子ども医療費助成事業として義務教育期間の子どもの医療費にかかる負担を軽減してまいります。
また、不妊症のため、子どもを持つことが困難である夫婦に対し、一般不妊治療等に要する費用の一部を助成してまいります。
保育サービスにつきましては、第3子以降の3歳未満児の保育料の無料化、並びに保育料の軽減や休日保育や延長保育などの特別保育事業を引き続き実施するとともに、新たに保育所待機児童対策として保育士などの資格を持つ人が自宅で乳幼児を預かる「保育ママ制度」の導入を図り、子育てしやすい環境づくりを進めてまいります。
更には、年々、児童相談件数が増加していることから、児童虐待の発生予防や早期発見にむけて、啓発活動を推進するなど、児童虐待防止施策をさらに強化するとともに、新年度より母子家庭等の生活の安定と、自立に向けた支援として、母親の資格取得を促進する「高等技能訓練促進給付支給事業」を実施してまいります。
次に、生涯を通じた健康づくりの推進についてであります。
生涯にわたって健全な心身を培い豊かな人間性を育むため、今年度策定しました「食育推進計画」に基づき啓発事業に取り組んでまいります。
がん対策につきましては、早期発見、早期治療が重要なことから、女性特有のがん検診推進事業を継続実施するとともに、受診率向上に向け、啓発活動に取り組んでまいります。
次に、地域医療の充実、確保についてであります。
冒頭に申し上げましたとおり、市立病院につきましては、本年4月以降外科及び整形外科の常勤医師が不在となるため、診療体制はもとより、救急医療体制の大幅な変更が必要となりました。
こうした事態に対し、外科及び整形外科については、当面は島根大学医学部から派遣いただきます非常勤医師による週3回程度の診療により対応せざるを得ませんが、今後は、近隣、特に県西部関係自治体との連携を強化し、国並びに島根県に対し診療機能の1日も早い復活、常勤医師の確保に向けた緊急対策などの要望を強力に行ってまいります。
具体的には、国に対しましては、医療制度、特に臨床研修制度並びに診療報酬のあり方などについての抜本的な改革を、島根県に対しましては、県内での医師の『東西格差』の是正に対して、県全体で配置を調整するような仕組みづくりなどを市議会並びに市民の皆様のお力をいただきながら、地方の切実な訴えを届け、その実現に向け取り組んでまいります。
また、救急医療体制並びに救急搬送体制につきましては、島根県並びに近隣の救急指定医療機関、消防などと早急に協議をまとめ、現有の救急車を有効活用するとともに、救急搬送を確実に行うために国道9号の迂回路の整備など、1日も早く市民の皆さまに安心していただけるよう取り組んでまいります。
次に、だれもが支え合い安心して暮らせる社会の実現についてであります。
まず、介護保険におきましては、第4期介護保険事業計画に基づく、地域密着型サービスの中核であります小規模多機能型居宅介護事業所の整備を進め、高齢者が住み慣れた地域や親しい人たちの中で生活することができるよう支援を行ってまいります。
また、地域での認知症に関する啓発に引き続き取り組みますとともに、高齢者の権利擁護相談体制の充実に取り組んでまいります。
障がい者の福祉サービスの充実につきましては、障がい者が安心して地域生活を営み、自立して生活できるよう、通院医療費などの利用者負担の軽減やグループホームの施設整備に対し支援を行うなど、事業者の運営の安定化に取り組んでまいります。
そのほか、市民がこころの健康問題等に関する正しい知識と認識を持ち、身近な問題として捉えることができるよう、心の健康講演会の開催、自殺予防月間における啓発事業など「こころと命のサポート事業」に取り組んでまいります。
次に、人権を尊重するまちづくりの推進につきましては、「大田市人権施策基本方針」「大田市人権尊重都市宣言」の趣旨並びに、「平和と人権尊重のユネスコの精神」に基づき、様々な人権問題の早期解決に努めてまいります。
また、市民一人ひとりが互いの人権を尊重し合い、「差別のない社会・温もりのあるまちづくり」の実現を目指し、引き続き啓発活動等に取り組んでまいります。
第3は、「県央の中核都市にふさわしい、快適な基盤づくり」であります。
まず、総合的な土地利用につきましては、山陰道整備に関係する地域の地籍調査が完了したため、新年度からは、本格的に石見銀山遺跡周辺の地籍調査を実施いたします。
次に、快適な都市環境の形成についてであります。
昨年より、下水道処理施設大田浄化センターが供用開始となりました。引き続き、公共下水道の整備、普及に向けて、大田、温泉津、仁摩、各処理区の着実な事業進捗を図るとともに、浄化槽設置事業に取り組んでまいります。
次に、道路ネットワークの形成についてであります。
山陰道整備を取り巻く情勢は、国の財政事情などにより、大変厳しいものがあります。山陰道は地域の産業、観光の活性化はもとより、救急医療や災害時の国道9号に代わる「命の道路」として、当市の自立発展に欠くことのできない道路であります。引き続き、山陰道の早期事業化と悲願の全線開通に向け、これまで以上に県、関係市町と連携を密にし、関係機関に対し強く要望してまいります。
また、国道、県道並びに市道、広域農道などの幹線道路網の整備につきましては、それらのネットワーク化に向け、緊急度の高い路線を優先して整備を進め、一層の事業推進に努めてまいります。
次に、情報通信網の整備、活用につきましては、昨年、高度情報通信基盤の整備が完了し、市内全域へのケーブルテレビサービスの提供が順次始まりました。
これにより、課題でありました情報の一元化、携帯電話不感地域やテレビの難視聴地域の解消が図られることになりました。今後は、できるだけ多くの市民の方にご加入いただき、ご活用いただけるよう、引き続き、初期費用軽減のための加入者補助、音声告知端末の補助を実施し、迅速で的確な行政情報の提供に努めてまいります。
次に安全な生活の確保についてであります。
消防におきましては、火災、風水害、震災害等に対し、市民が安心して生活できるまちづくりを目指し、消防防災体制の強化に努めます。
また、新たに消防救急無線のデジタル化に着手するとともに、救急救命士の養成や、高度な知識と技術を持った職員を育成、さらに、救急業務の高度化を推進し、増加する救急需要に的確に対処するために、より一層消防と医療の連携を密にし、救命率の向上に努めてまいります。
消防団につきましては、消防輸送車、小型動力ポンプや消防資機材等の整備を進め、出動体制の強化に努めてまいります。
また、防災対策につきましては、「大田市地域防災計画」に基づき、災害時における「災害時要援護者避難支援計画書」を作成し、自主防災組織の育成に努めるとともに、市民の防災意識の啓発に取り組んでまいります。
第4は、「石見銀山をはじめとする歴史をいかした創造的な人づくり」であります。
まず、世界遺産である石見銀山遺跡の保存と整備、活用についてであります。
世界遺産を確実に未来に引き継ぎ、地域に活かすため、「石見銀山学」の確立を目指す取り組みに着手し、遺構が集中する石銀地区の整備を開始するなど、最盛期の石見銀山の姿を実感できるような整備に取り組み、併せて城跡、港町の整備を進めてまいります。
世界遺産センターはフルオープンから1年半が経過し、入館者は、約46万人に達するなど、名実ともに世界遺産のビジターセンターとしての機能を果たしつつあります。今後も引き続き、来訪者への情報提供と学習機能の充実を図り、特に評価の高い大久保間歩の公開など様々な事業を組み合わせながら、遺跡の価値を一層明らかにし、魅力を高めてまいります。
また、町並み保存事業につきましては、町並みの無電柱化がなりました大森銀山地区並びに温泉津地区それぞれの特色を活かし、生活環境の向上と来訪者に魅力を感じていただけるような整備を進め、交流人口の拡大を図ってまいります。
併せて、石見銀山基金につきましては、これまで官民協働で募金活動に取り組み、積立額は平成21年度末で約1億円を超える見込みです。今後は、協働を担ってきた石見銀山協働会議を新たな運営組織とし、その基金を活用した遺跡の保全活動などの市との協働事業を具体化してまいります。
次に豊かな心を育む学校教育の推進についてであります。
まず、学校再編につきましては、昨年統合に向け地元合意をいただいた、温泉津の4小学校の統合準備を具体的に進めるとともに、他の校区につきましても統合枠組みごとに地元協議を重ね、合意を得ながら推進してまいりたいと考えております。
また、不登校や特別支援教育等の様々な教育課題に対して、専門的、総合的に取り組むため、指導主事の配置を進めるとともに、児童生徒の更なる学力の向上を図るため、学力向上サポーターなど体系的な支援事業を始めてまいります。
本年度より、学校図書館への専任職員、ボランティア配置を行い、市立図書館との連携をはかることによって、学校図書館を利用し、読書する児童生徒は急増しております。引き続き、支援体制を整えるとともに蔵書の充実を進めてまいります。
また、安全、安心な教育環境を整えるため、小中学校の耐震補強に併せ、必要な改修工事を年次的に実施いたします。併せて市内の各学校につきましては順次、耐震診断調査と補強設計などを計画的に実施してまいります。
また、学校給食共同調理場につきましては、平成24年4月の施設の稼動を目指し、具体的な建設準備を進めるとともに、本年4月から単独調理場を含む市内全ての調理場における調理業務の民間委託を実施します。
次に、生涯学習推進体制の整備についてであります。
社会教育、生涯学習活動につきましては、昨年スタートしました、市内7つの公民館を軸に、引き続きまちづくりセンターなどと連携しつつ特に、学校、家庭、地域の連携を高める諸活動を協働して行ってまいります。
また、市立図書館につきましては、昨年、市内3館の貸出カードを統一するなど利便性の向上に努め、新年度はインターネットによる貸出予約を開始するなど、引き続きサービスの向上と蔵書更新に努めてまいります。
次に、生涯スポーツの振興についてであります。
本年は「三瓶高原クロスカントリー大会」に高校女子選抜合宿を誘致するなど、生涯スポーツの啓発を図り、大田市体育協会やスポーツ団体、クラブとともに、スポーツの振興に努めてまいります。
芸術文化の振興につきましては、「大田市芸術文化振興計画」に基づき、指定文化財の修理、保存に努めるとともに、難波利三氏ふるさと文芸賞の継続、大田市文化協会などとの協働事業を統合して「文化はまちの力」事業を新たに開始するなど、芸術文化の振興を図ってまいります。
第5は、「自然との共生や循環型社会を目指す生活環境づくり」であります。
自然環境の保全につきまして、希少動植物の保護など、引き続き、自然と共生したまちづくりの推進に努めてまいります。
次に、ごみの減量化対策につきましては、3R(発生抑制、再使用、再生利用)の促進を図り、一層ごみの減量化を進めてまいります。
新不燃物処分場の建設につきましては、自然環境や景観に配慮した屋根付きの被覆型処分場として整備することとしております。地権者の方々や地元の皆様のご意見やご要望を誠心誠意受け止め、新年度は用地取得に着手してまいりたいと考えております。
また、循環型社会の構築を目指し、平成23年度から市内全域で、プラスチック製容器包装のリサイクル事業をスタートすることとし、新年度は、これに併せまして、旧大田ごみ焼却場の跡地に容器包装リサイクル推進施設を建設することとしました。
今後とも、ゴミの分別への意識啓発に努めるとともに、地球温暖化の原因となる温室効果ガスの削減にむけ、地球温暖化対策地域推進計画に基づき、レジ袋の削減、有料化などに取り組んでまいります。
新エネルギーの導入につきましては、平成19年度に策定した「大田市地域新エネルギービジョン」に基づき、環境負荷の少ない風力、太陽光発電、バイオマスエネルギーなど自然エネルギーの導入に向けた取り組みを推進してまいります。また、一般家庭や事業所での太陽光発電施設の導入に対する助成を実施してまいります。
安全で安心な水を安定的に供給するため、未給水地域での飲料水安定確保対策事業並びに石綿管更新事業等により、施設整備を進めてまいります。
水道料金につきましては、本年10月検針分より統一を図り、併せて水道料金適正化計画に基づき、適正な事業の遂行を図るとともに、より一層の効率的な事業運営に努めてまいります。
第6は「参画と協働によるまちづくり」であります。
市民との協働によるまちづくりの取り組みにつきましては、まちづくり委員会を市内7ブロックごとに設置し、取り組んでいますが、これにより地域の特性や資源を活かした取り組みが、各地域で胎動を始めており、更に活発な動きに発展するよう、まちづくり支援センターを中心に積極的に支援してまいります。
また、ボランティアグループ、NPO法人等と協働事業を進める市民提案型協働モデル事業の実施を通じて、市民主体の積極的な取り組みを支援してまいります。
次に、定住対策としましては、UIターン者に対し、新たに奨励金制度を設けるとともに職業紹介等を通じて、移住環境を整え、農作業、漁業などの労働体験、日々の営みや自然、地域性に触れていただく「田舎体験ツアー」を実施するなど、「田舎ツーリズム事業」を積極的に展開し、定住増に向けた取り組みを進めてまいります。
協働によるまちづくりの基本は、市民の皆さまと行政が互いに情報を共有することが大変重要であると考えます。今後は、広報おおだはもとより、昨年開局しましたケーブルテレビのサービス普及に併せ、行政情報番組の放映など、積極的な情報発信に努めてまいります。
次に効率的な行財政運営と改革の推進についてであります。
市長就任以来、行財政改革推進大綱、行財政改革集中改革プランに基づき、全庁挙げて着実に行財政改革に取り組んできたところでありますが、厳しい財政や地域経済の状況の中で、市民サービスを安定的に提供できる弾力的な財政基盤を構築するため、引き続き「第2次大田市行財政改革推進大綱」並びに「実施計画」による徹底した行財政改革を推進してまいります。
今後5年間の行財政改革推進の指針として「市民との協働によるまちづくりの推進」を基本方針に、時代に即した手法を取り入れながら、効果的で効率的な市政運営、質の高い市民サービスの提供に努めてまいります。
職員の定員管理につきましては、今後も計画に基づき人員の適正配置と管理に努めるとともに、新たな行政課題や市民ニーズに即応するため、柔軟で効率的な組織となるよう組織機構の見直しに取り組んでまいります。
また、「大田市職員人材育成基本方針」に基づき、職員の意識改革と資質の向上、並びに時代や環境の変化に対応できる人材の育成に努めてまいります。
(市の花・木等)
さて、新年度は新市が発足して5周年を迎えます。この機会に新市において協議するとされておりました新市のシンボルとなる花、木等につきまして選定をしてまいります。
以上、市政運営の基本方針、並びに主要施策の概要について申し上げました。
(予算案)
続いて、今回提案いたしました平成22年度大田市予算案について申し述べます。
一般会計のほか、11の特別会計、2つの公営企業会計の予算案を上程いたしております。
いずれも、大田市総合計画に基づく事業構築を行う中で、平成21年度から23年度の3年間を集中健全化期間とする大田市財政健全化計画に沿って、歳出の削減、公債費の縮減による実質公債費比率の抑制、並びに基金残高の確保に向けた取り組みを進める一方、子育て支援や産業振興、そして教育、環境などの分野で新規事業を創出し、当市の未来につながる種をまき、将来市民だれもが幸福を感じることのできるまちづくりを進めてまいります。
また、景気のさらなる落ち込みが懸念される経済情勢にあって、引き続き、国や県の補助事業の活用や市単独事業により、雇用対策をはじめとする緊急経済対策を措置することとし、平成22年度へ繰り越しとなります21年度の国の2次補正による経済対策と合わせて、地域の経済、雇用を下支えしてまいります。
以上の方針のもとに編成いたしました平成22年度一般会計当初予算の総額は212億円となり、対前年度8千万円、0.4%の減となっております。
このほか、平成21年度一般会計補正予算案として、2件の指定管理に伴います債務負担行為について提案いたしております。これら予算案のほか、条例案件、一般案件合わせて31件の議案を本会議に提案いたしております。詳細につきましては、主管部長並びに担当課長に説明させることといたしますので、何とぞ、慎重にご審議の上、適切な議決を賜りますようお願い申し上げます。
市民の皆様、議員各位のご理解とご協力を重ねてお願い申し上げ、施政方針並びに提案理由の説明を終わります。
〒694-0064 島根県大田市大田町大田ロ1111番地
大田市役所 総務部 政策企画課
電話番号:0854-82-1600(代表)
ファックス:0854-82-6667


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